季刊誌ツ・ナ・ガ・ル21号(2015年秋)の記事を再掲載します。
期間限定掲載
WAVES Cafe 3 @巣鴨 with SMILE !
巣鴨の地蔵通り商店街はお年寄りでいっぱいでした。会場設営や各班の準備、打ち合わせ中にも、何が始まるのだろうと興味を持った人たちが、ブースの前で立ち止まったり、中に入ろうとしたりする人もいます。
スタッフは午前中に行われた作戦会議から班行動が基本です。プロモーション・アンケート班は案内(ビラ)を配布し、イベントを告知し、ブースへと誘導します。問診班はMNA-SFやアンケートを用い、ブースを訪れた高齢者に問診を行います。身体計測班は指輪っかテストで下腿周囲長や握力計で握力を計測します。景品配布班は回収したアンケートと引き換えに栄養剤入りのトートバッグを手渡します。マニュアル班は全体の流れを俯瞰し、今後のイベント開催に向けてのマニュアルを作成します。それぞれに役割はありますが、基本にあるのは市民との直接のコミュニケーションです。市民に声掛けし、話しを聴き、接する中で、何かを受け取ったり、伝えたりできるのではと考えています。
すべてが上手くいったわけではなく、すべてが上手くいかなかったわけではありません。どんな人を対象とするのか。問診の中身は適切か。計測のスペースや人員、ツールは十分か。景品の配布方法は大丈夫か。…それぞれに問題がありました。声掛けが難しい(いつもは待つ身)。怪しまれる(目的がわからない)、警戒される(売りつけられる)。相手にされない(低栄養ではないというプライド)。…自分の中の気持ちやいつもとは違う立場での戸惑いもありました。しかし、楽しかった。ありがとうと感謝された。いろいろな相談を受けた。続けてほしいと言われた。生の声が聴けた(みんな栄養を気にしている)。…実際に接した中で生まれる関係性に喜びと手ごたえ感じる声が全員にありました。
当日は約70名の医療者と一般市民ボランティアが集まりました。この人員でイベント案内を1000枚配布し、アンケート(問診)の記入および栄養剤サンプル入りトートバッグを500セット配布しました。全体で費やした時間は2時間弱でした。
「声掛けは難しいですが楽しいです。患者さんと医療者という関係を離れて、自由に声掛けができるからです。自分たちが学んで身につけた知識が市民に伝わっていくことが実感できます。一人ひとりにしかできないことですが、それが起点となり、10年後、20年後につながっていく。そう考えるとワクワクしますし、使命感も生まれてきます。…(まわりを見ると)、同じ志を持ち行動する仲間がいることは頼もしいですね。自分の不足の分野は周囲の専門職がすぐ対応してくれる。みんながひとつのチームとして有機的に機能している。ちょっと感動する光景です。楽しく、とても良い学びの機会になりました」
…コツコツを身上とする一人の参加者の声です。
掲載記事の内容は2015年取材時のものです。
再掲載ありがとうございます。
私もちょうど、巣鴨の時を振り返っていました。
あれから6年。懐かしいですね。試行錯誤の連続でしたが、参加スタッフの連帯感と市民の方とのふれあいと充実した一日でした。
「想いこそが永遠であり不滅」
WAVES Japanは解散しましたが、「栄養を幸せのちからに」の想いは、きっと、多くの人々の心の中に無形財産として根付いていると思います。
どんな形であれ、この無形財産を未来の世代へ伝える役目を担っていきたいです。