2022年5月8日にMEDぐんま2022が
恒例となりました群馬会館で開催されました。
1ヶ月のオンライン視聴期間を経て
本日、各プレゼン動画(計14本)が公開されました。
是非すべての動画をご覧ください。
タイトルと抄録を参考に関心のある動画をご覧いただくのも良いでしょう。
ここで全ての動画を紹介したいところですが、
誌面の都合もあり一つだけ紹介します。
抄録では内容が予想しにくいと思われるプレゼンです。
感情を排した簡潔明瞭な紹介文ですが、
実際のプレゼンでは、
一人の(否、二人の)人生の深い想いが伝わってきました。
タイトルにもありますが、
「ていねいに生きる」ことについて深く考えさせられました。
ここまでで既に関心をお持ちの方は
以下の文章は読まずに動画をご覧ください。
もう少し私の文章にお付き合いいただける方は
ネタバレになってしまう可能性のあることをご承知ください。
プレゼンは、
バックステージから撮影したプレゼンターの山田さんの後ろ姿から始まります。
見ている私にも山田さんの緊張感が伝わってくるようでした。
(素晴らしいカメラワークです)
冒頭、ディズニーランドでツーショット写真を前に
「隣にいるのが、愛妻 あやちゃんです。可愛いでしょ?」とサラっと紹介しました。
その最愛の奥様が卵巣がんの手術直後に
1年半の余命宣告を受けたことが淡々と語られました。
彼が最初にしたことは、ご自身の髪の毛を剃ることでした。
抗がん剤治療による脱毛を奥様に先んじて体験しようとされたのです。
奥様にとっては、これから始まる抗がん剤治療を前にして
二人三脚で支えてくれるご主人の存在がどんなにか心強かったことでしょう。
その後、山田さんは都内の勤務先を辞め、
奥様の治療を引き受けてくれた群馬県前橋市に移住します。
残された貴重な時間を奥様のためだけに使おうと決意されたのです。
本気度がここにも現れています。
最愛の夫婦の姿を見せていただいた気がします。
奥様の闘病生活は3年半に延長されました。
当初の予測の倍以上生きたことになります(素晴らしい)。
愛の力のなせる技なのでしょう。
期間のみならず密度は倍増していたに違いありません。
そんな闘病生活の中で一つの問題が生じました。
リンパ浮腫によるリンパ漏の問題です。
リンパの鬱滞から下肢から水分が溢れ出てしまう状態です。
正常時の2倍近くに腫れ上がってしまい、
皮膚表面から結露のように水分が滴り出るのです。
これは水分が滲出するだけのことではありません。
水分が滲み出るほど皮下に水分が溜まっているのです。
皮膚をピンと貼らせるので不断の痛みを伴うのです。
当初、ご主人は水分をキャッチするのに
ペット用シーツを使用せざるを得ませんでした。
専用の製品がなかったからなのです。
愛妻にペット用製品を使わざるを得なかったことに相当なショックを受けたそうです。
市場に無いのなら自分で創ろうということになりました。
出来上がった製品が「とりこっとん」です。
>> https://www.fukurou-gunma.com/tri-cotton-20190906/
どれくらいのニーズがあるのか、医師の私にもわかりません。
山田さんにとって、それは亡くなった奥様に託された課題だったのです。
ですから採算性は二の次だったはずです。
文字通りの二人三脚の闘病生活が終了した後、
山田さんの喪失感は大変なものだったでしょう。
しかしながら、奥様からの課題がその喪失感を相当に和らげてくれたに違いありません。
奥様の山田さんへの愛がここにも現れていると思います。
「この世に真実の愛など存在しない」と断言する人もいるかもしれません。
が、これまで多くの先人たちが愛の重要性を繰り返し主張してきましたことも事実です。
ほとんどの芸術がそれを伝えるために存在してきたとも言えるでしょう。
このような大切なことを学べるのもMEDの醍醐味です。
この他にも素晴らしいプレゼンが目白押しです。
そして、大切なお知らせです。
今年、10月9日(日)にMED Japanを開催します。
場所は恒例の日本科学未来館です。
翌日が祝日になっていますので、
遠方の方でもリアル参加が可能かと思います。
懇親会も予定しています。
今から予定を空けておいてください。
どうぞよろしく御願いします。
(2022年6月8日)