皆さん、SASをご存知でしょうか?
Sleep Apnea Syndromeの略語で、睡眠に関係する呼吸障害のひとつです。
日本語では「睡眠時無呼吸症候群」です。
成人男性の約20%、閉経後女性の約10%に中等症以上のSAS患者が見られるそうです。
後で解説しますが、主な治療法である持続陽圧呼吸療法(CPAP)を受けている人は
約60万人にのぼり、そのうち60歳未満の人が約半数を占めています。
一般の病気に比べて60歳未満の方が多いのは、
SASを疑って自ら医療機関を受診する分母の差のような気がします。
受診していないだけで、シニアの方も決して少なくないと思います。
男性は、生活習慣病が増加する中高年になるとSASの発症が増えます。
一方、女性は、閉経前は男性に比べてSASを発症しにくく、
発症頻度は男女比2〜3:1となっています。
女性ホルモンのエストロゲンが血液中のコレステロール値を下げる働きや内臓脂肪をつきづらくさせる効果を持つことなどが奏功していると考えられます。
女性ホルモンには筋肉が気道を広げようとする作用があり、いびきをかきにくくさせています。
しかし、閉経後は女性もエストロゲンの働きが急激に低下しますので、
肥満のリスクが高くなり、首まわりの気道周辺にも脂肪がつきやすくなります。
よって、女性も閉経後にはSASを発症する人が増え、
年齢が高くなると男女比の差がなくなっていくようです。

大イビキをかいたり、日中の眠気が強かったりする方は
最寄りの医療機関を受診してみてください。
専門の外来がある施設は下記で調べられます。
https://www.kaimin-life.jp/search/

アプノモニターやポリソムノグラフィなどの検査で
就眠中の酸素飽和度、呼吸音、呼吸頻度などがチェックされます。
SASの診断・治療ですが、
下図の流れになります(出典:令和2年度 官報・厚生労働省通知)。

SASは太った男性や中高年以降の女性に多いイメージがありますが、
該当しない人も安心してはいけません。
男女共に、あごが小さく気道が塞がりやすい人に発症することも少なくないのです。

実は、かく言う私もSAS患者です。
私のポリソムノグラフィ結果をご覧ください。

要点だけピックアップします。
無呼吸 20回/時
無呼吸時間 最大 119秒
      平均 46秒
酸素飽和度 最低値 66%

なんと! 無呼吸は1時間に20回以上ありました。
その平均が46秒間で、
2分間 呼吸が止まったままの時もありました。
その際には酸素飽和度が66%にまで下がっています。
医療関係者ならこの数字が如何に危険な値であるかがお分かりいただけると思います。
酸素飽和度が70%を切るような状態を1時間に20回以上繰り返していたのです。
心肺停止後、3〜5分で脳に不可逆性のダメージが残ると言われますので
私のこの状態を放置しておく訳にはいきません。

そんな経緯で、4月からCPAPを毎晩装着しています。
CPAPとは、持続陽圧呼吸療法のことです。
鼻に装着したマスクから送り込んだ空気の圧で空気の通り道を確保する治療です。
各人に適した空気圧を設定することで、
睡眠中に気道塞がれるのを防ぎ、
呼吸がスムーズにできるようになります。
このCPAPは装着中の違和感が強くて断念する方も多いようですが、
私の場合、初日から完全装着できて、
朝にはCPAPの絶大なる効果を実感できました。
それまでは自覚していませんでしたが、
CPAP使用開始後に日中の眠気があったことに気づきました。
熟睡というものを日々実感しています(感謝!)。
軽症の方は、減量(ダイエット)、耳鼻科診療、
マウスピース装着や側臥位での就寝で軽快する場合もあるようです。

皆さんの中にも隠れSASの方がいらっしゃるはずです。
中高年の男性、閉経後の女性はセルフチェックをお勧めします。
顎の小さい方も同じです。

人生の約3分の1の時間を占める睡眠はとても大切です。
質の高い睡眠を手に入れましょう!!

(2022年6月15日 )

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