276. 計画的偶発性理論

計画的偶発性理論(英語で Planned Happenstance Theory)とは、
アメリカのスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授らが提唱したキャリア論です。

平たく言うと、
「キャリアの8割は当初予想していなかった偶発的なことで決定される」
という考え方です。
また、偶然を計画的に設計することで、
キャリアをより良いものにしようとする理論でもあります。

教授によれば、下記の5つの行動特性を持っている人は、
計画的偶発性が働きやすいそうです。

  • 好奇心[Curiosity]
  • 持続性[Persistence]
  • 柔軟性[Flexibility]
  • 楽観性[Optimism]
  • 冒険心[Risk Taking]

こういうタイプの人、たまにいますよね。
そして、人生を楽しむ達人のことが多いと思います。

こうした「ハプンスタンス・アプローチ:偶然を活用してチャンスをつかむ」の
たくさんの実例を紹介した本が、
表紙に挙げた『その幸福は偶然ではないんです!』になります。

私の場合、様々な幸運をつかんだ実例を見聞きすることで、
ハプンスタンス・アプローチが肚落ちするようになりました。
これを理論、理屈で紹介したところで、
私には到底納得できなかったでしょう。
クランボルツ教授もその点を踏まえて
書籍の構成を実例集にされたのでしょう。
ある意味、ハプンスタンス・アプローチのコツを掴むための練習問題集なのかもしれません。

たくさんの人たちのキャリアを見聞した上で、
自分自身のキャリア形成を振り返ってみました。
私の場合も、やはり予定通りにはなっていません。
全くの予想外です。
本来、消化器外科医として医師人生を全うするつもりでいましたが、
紆余曲折がありまして
今は社会派のコミュニティ・ドクター(←勝手に命名)となっています。
外科医を続けられていないのは残念ではありますが、
私よりずっと有能な外科医はたくさんいますから、
それはそれで良かったのでしょう。
そして、今のポジションは私だけの、
決して代替えが利かないものだと思っています。
皆さんは、ご自身のキャリアと今のポジションを
どのように捉えていらっしゃるでしょうか? 

クランボルツ教授は心理学を専門とするキャリアカウンセリングの先駆者ですから、
職業上のキャリアを論じています。
しかし、目先を変えれば、
「計画的偶発性理論」に類似する概念は様々な分野に散見されます。
マネジメントの領域では
以前このメルマガでも紹介した「ハプマネ(マネジメントハプニングス )」があります。
提唱者は、知る人ぞ知る経営学のグル:ミンツバーグ教授です。

http://tunagaru.org/akiyama-essay/80

ビートルズ ジョン・レノンの名言を思い浮かべる人も多いかもしれません。

各分野の達人たちは、同じことを謂わんとしているのだと思います。

人間はコンフォートゾーンに安住していたいものです。
しかし、それでは大きな成長は望めません。
一度の人生、チャレンジしたいものです。

先の書籍:『その幸運は偶然ではないんです!』の文末から
エッセンスを引用してみましょう。

・将来何になるか、決める必要はない。

・想定外の出来事があなたのキャリアに影響を及ぼすことは避けられない。

・現実は、あなたが考える以上の選択肢を提供しているかもしれない。

・いろいろな活動に参加して、好きなこと・嫌いなことを発見する。

・間違いを犯し、失敗を経験しよう。

・想定外の幸運な出来事をつくりだそう。

・どんな経験も学びへの道

・仕事以外でも満足感を得られる活動に携わる。

・内面的な障害を克服するために、新しい考えや経験にオープンであり続ける。

長々と「計画的偶発性理論」や「ハプンスタンス・アプローチ」を解説してきたのには訳があります。
勘の鋭い方はお気づきでしょう。

そう、 医療プロボノの勧誘 のためです。

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(2022年3月2日)

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