先日、加山雄三さんが年内でコンサート活動から引退すると報道されました。
若大将のイメージが強く、年齢不詳の感がありますが、
この4月に85歳になられたそうです。
その年齢まで舞台に立ち続けてこられたのは立派だと思います。
同じく80歳を超えて世界中の舞台に立ち続けているオペラ歌手がいます。
三大テノールの一人、プラシド・ドミンゴさんです。
先日、彼のコンサートに行ってきました。
年齢を考えると、来日コンサートは最後かもしれません。
行かない後悔を避けるために思い切ってチケットを購入しました。
ところで、私がドミンゴさんを知ったのは、
多くの人たちと同様、“三大テノール”コンサートによってです。
ルチアーノ・パバロッティ、ホセ・カレーラスと演じた
“三大テノール”コンサートは、
世界54ヵ国で8億人が視聴したそうです。
オペラ界のみならずクラシック音楽界においても
画期的な企画だったようです。
より多くの人が初めてオペラに接する機会を提供してくれました。
ちなみに「残りの二人のメンバーは?」と言いますと、
パバロッティさんは膵癌で死去し、
カレーラスさんは現役で活躍中です(今秋、来日予定あり)。
三大テノールについてはこちらの映像をどうぞ!
さて、コンサートに戻りましょう。
写真は主役の登場を待ち受ける東京文化会館のステージです。
久しぶりのリアルのコンサートに私も期待感で一杯でした。
とはいえ、ドミンゴさんはすでに81歳です。
年齢を考慮すると、美声も声量も期待はできないだろうと思っていました。
第一声を聴くまでは…。
正直、驚きました。
素晴らしい歌声でした。声に艶がありました。
美声とはこういうものだと納得しました。
声量にも驚かされました。
立ち姿も凛々しかったですね。
存在そのものが絵になっていました。
流石は稀代のオペラ歌手です。
そして、時折見せる愛嬌のある仕草も
実にチャーミングでした。
全盛時代はさぞ凄かったのだろうと想像します。
しかし、一方で、
さほど変わらないのではないかという気もします。
それだけ当日のパフォーマンスが素晴らしかったのです。
オペラ歌手は一般的に
美声を守るために一定の休息を取るそうです。
しかし、彼は休息を取らないことで有名なのです。
継続の力を理解しているのでしょう。
日々の鍛錬を怠ることなく
世界のトップを走り続けているのです。
当日の舞台の完成度の高さは、
彼の不断の努力の成果なのでしょう。
次元も分野も違うのは承知の上ですが、
私も見習いたいと思いました。
私は、この手の不断の努力を惜しまない御仁を尊敬して止みません。
そんな趣旨を「ことばの栄養剤」で語ってみました。
超高齢社会では、元気なシニアがたくさん輩出されることでしょう。
社会全体が活力を失わないためにも
そういう人たちが必要なのだと思います。
目指すは「生涯現役」です。
ドミンゴさんはその素晴らしい見本です。
コンサートの興奮冷めやらず、
初めての出待ちをしました。
車中のドミンゴさんはこちらを向いて手を振ってくれました。
その人間味溢れる姿にも感動しました。
この映像で観客の私たちが彼に魅了されたのかが伝わると思います。
梅雨の晴れ間となった一夜、
ほのかな風がとても清々しく感じられました。
(2022年6月22日)