第26回参議院議員通常選挙の投票日は7月10日です。
皆さんは投票先を決められたでしょうか?
ご覧の通り改選120議席に対し、545人が立候補しており
迷われている方も多いことでしょう。

東京選挙区では定員6に対し34人が立候補しています。
私も誰に投票するかを決めかねています。
というより、納得のいく候補者が見つかりません。
34人も立候補しているのに…、です。
この事実に愕然としています。
私の感覚がおかしいのかもしれませんが、
国政を託したいと思える人物が見当たらないのです。
こうなると投票に行かない人の気持ちも分からなくもないですが、
大事な1票を放棄する訳にもいきません。

何故、かくも「?」の人たちがたくさん立候補しているのでしょう?
彼らは自身の当選を信じて立候補しているはずです。
その上、どなたも自信たっぷりに演説されています。
私には不思議でなりません。
皆さんの選挙区ではいかがですか?

そんなことを考えていたら、
ダニング=クルーガー効果を思い出しました。
そして、ある心がけをすることにしました。

ダニング=クルーガー効果(Dunning–Kruger effect)は
認知バイアスについての仮説なのですが、
「能力の低い人は自分の能力を過大評価する」傾向にあるというものです。
人生経験の豊富な方ほど、これは仮説ではなく、
全くの真実だと断言されることでしょう。

ダニング=クルーガー効果は、
コーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによる
1999年の論文「Unskilled and Unaware of It」で指摘されました。
>> https://www.avaresearch.com/files/UnskilledAndUnawareOfIt.pdf

ちなみに二人は、2000年のイグノーベル賞心理学賞を受賞しています。

能力が低い人々の内的な(=自身についての)過大評価と、
能力の高い人々の外的な(=他人に対する)過大評価の結果として生じます。
前者だけでも迷惑な話なのですが、
さらに能力の高い人は必要以上に謙虚であるため、
自身を過大評価している能力の低い人を過大に評価してしまうのです。
二重にバイアスがかかってしまうことになります。
こうして世の中に勘違いが広がってしまうのです。

先人たちの言葉や格言が
より分かりやすいかもしれません。

  • 「夜郎自大」
  • 「無知の知」ソクラテス
  • 「愚か者は自身を賢者だと思い込むが、賢者は自身が愚か者であることを知っている」シェイクスピア
  • 「無知は知識よりも自信を生み出す」チャールズ・ダーウィン
  • 「私達の時代における苦しみの一つは、確信を持っている人間は愚かさに満ちており、想像力と理解力を持っている人間は疑いと執拗さに満ちていることだ」バートランド・ラッセル

そして何よりも表紙の図が理解を深めてくれると思います。

過度の自信は、グラフ右側の「グル(師)」レベルのそれというより
左側の「馬鹿の山」(←汚い言葉ですみません)の場合が多いようでして、
良く見ると自信の程度は後者(左側)の方が高いのです。
私はどちらかというと自信がない質なので
図の「絶望の谷」のやや左側かなと思います。
一方、参院選の立候補者を見ていると
自信満々で演説しているように見えます。
彼ら、彼女らは右側、左側のどちらかのはずです。
その判断を間違わないようにしないと
選挙では大変なことになってしまいます。
気をつけたいのは、私のように「絶望の谷」周辺にいるやや弱気の人たちは
左側の山の人たちが優れて見えてしまうことです。

ダニング=クルーガー効果 恐るべし。

この心構えを以て、選挙に臨みたいと思います。

(2022年7月6日) 

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