『青春』という詩をご存知でしょうか?
米国の実業家 サムエル・ウルマンによるこの詩(オリジナル版)は
死の4年前に自費出版されました。
自費出版ですから多くの人に知られることはなかったと予想されます。
それが、第二次世界大戦後、
アメリカの雑誌リーダーズ ダイジェストに掲載され、
マッカーサー元帥が座右の銘として執務室に掲げたことから、
日本でも知られるようになったそうです。
松下幸之助氏も座右の銘にしていたことから
経済界では語り継がれている有名な詩のようです。

サミュエル・ウルマン(Samuel Ullman, 1840年 – 1924年):ドイツ・ヘッヒンゲン出身のアメリカ合衆国の実業家。(詩人、教育者)。ユダヤ系ドイツ人であったため、迫害を避けアメリカへ渡る。 アラバマ州バーミングハムに住み、荒物商を営みながら執筆を続けた。80歳の記念に自費出版した『80歳の歳月の高見にて』に収められた詩「YOUTH」(青春)は名高い。

出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』

オリジナル版は1920年の出版ですが、
今回は1945年のThe Reader’s Digest版「Youth」(訳詞 岡田義夫)を紹介します。

青 春

青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、
怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、
こう言う様相を青春と言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ。
苦悶や、狐疑、不安、恐怖、失望、
こう言うものこそ恰も長年月の如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
曰く「驚異への愛慕心」空にひらめく星晨、その輝きにも似たる事物や思想の対する欽迎、事に處する剛毅な挑戦、小児の如く求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。
 
 人は信念と共に若く  疑惑と共に老ゆる
 人は自信と共に若く  恐怖と共に老ゆる
 希望ある限り若く  失望と共に老い朽ちる
 
大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして偉力と霊感を受ける限り、人の若さは失われない。
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至ればこの時にこそ人は全くに老いて神の憐れみを乞う他はなくなる。

一般的な意味での「青春」を「第一の青春」とするなら
真っ先に思い浮かぶのが、歌手の西城秀樹さんです。
「青春」をイメージさせる楽曲の多さとエネルギッシュなコンサート、
さらに、抜群の歌唱力においても
右に出る人はいないだろうと思います。
小学生時代の私は西城さんのファンで
文房具の下敷きは西城さんの写真入りでした。
彼の代表曲『ヤングマン』は、「第一の青春」そのものでしょう。

そして、ウルマン流の「青春」を「第二の青春」というのなら、
その代表格も西城秀樹さんだと私は思います。

2001,2003年に脳梗塞を発症し
地道なリハビリと厳しい自己節制の後に復活しました。
さらに2011年12月20日に再度の脳梗塞を発症しました。
天は何故に、かれにこれほどまでの試練を与えたのでしょうか?
「隠れ脳梗塞」を含めると計8回発症していたそうです。
しかし、その度に彼は立ち上がり、
前を向いて歩き出しました。2018年5月25日の最期の日まで…。

実は西城さん、先のウルマンの詩をご存知で、
メロディーを付けた楽曲『青春』を2007年にリリースしています。
自らを鼓舞すると同時に、より多くの人にも勇気を届けたかったのでしょう。

歌声にこれほどまでの想いを込められる人は皆無でしょう。
ご自身の曲のみならず、
カバー曲においてもオリジナルを凌駕するような歌唱力です。
そんな西城さんの楽曲は
今でも、次々とYouTubeにアップされ続けています。

たくさんの素晴らしい楽曲を遺していますが、
西城さんの「後世への最大遺物」は、その生き方にあると思います。

第一の意味でも、第二の意味でも
紛れもなく「青春」を生き切った人だと思います。

最後にもう一曲、これも脳梗塞発症後、リハビリを経てのリリース曲です(2006年)。
魂の歌声を味わってみてください。

2021年12月1日

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