第18話で内村鑑三著『デンマルク国の話』を取り上げました。

http://tunagaru.org/akiyama-essay/18

実は岩波文庫には、本日紹介する『後世への最大遺物』を併せた2編が
1冊にまとめられています。
どちらも良書ではありますが、
より多くの人々に影響を与えたのが『後世への最大遺物』です。
中学3年の時、社会科の参考書のコラム欄に紹介されていたのが目に留まり
早速読んで、今日まで影響を受け続けています。
私にとっての恩書です。
第187話で触れた 故 中村哲 医師もこの書によって志を抱くようになったそうです。

http://tunagaru.org/akiyama-essay/187

彼のアフガニフタンでの活動はピッカピカの「後世への最大遺物」と言えるでしょう。

著者の内村鑑三という人は、
霊的直感がある人だと思います。
これまたアーカイブになりますが、
第260話で言及した「日本的霊性」の代表格だと私は確信しています。

https://minnadekenko.com/social/260/

彼の言葉には魂が宿り、
霊的な力が加味されて私たちの心に火を灯します。
否、「心に火を灯す」というより、
「心を燃え上がらせる」という感じでしょうか。
彼の言葉の影響力は絶大です。
そうした言葉は、昔から言霊(ことだま)と言われます。
その言霊の力を本書から感じ取ってください。

さて、本題に入りましょう。

上記は
南半球の天体を観測、記録したことで知られる天文学者ジョン・ハーシェルが
ケンブリッジ大学の学生時代に
親友のピーコックおよびバベッジと共に立てた誓いです。
どういう訳か、私にはその時の光景が目に浮かんできます。
降るような満天の星空を見上げながら、
ハーシェルは土手に寝そべり、友人たちは両膝を抱えて座っています。
彼らの目は希望に輝き、その口から紡ぎだされる言葉もその空間に光を放っています。
何とも清々しい光景です。
事実、ハーシェルは南半球の星座を調べつくし、
星座をもとにした航海法を確立します。
その業績によって南半球の航海が開け、多くの発展のきっかけを作ったのです。
若き日にそのような志を抱くことも素晴らしいのですが、
それ以上にその青年らしい純粋な想いを語り合うことができる友がいるという人生は、
本当に素晴らしいと思います。
親友とはこのような誓いを立て会う間柄なのでしょう。

そして、若き内村鑑三氏も同じような誓いを立てていました。

全く同感です。

では、私たちに出来る後の世への最高のプレゼントとは何でしょうか?
本書は講演録ですので、
目の前の青年たちにそれを考えさせていくプロセスがつづられています。
「お金」「事業」「教育」「文学」「芸術作品」「思想」
次々と候補が挙げられますが、
万民にとって可能となる普遍解は
それらではないことが示されていきます。
この万民にとっての答えを提示するあたりが、
内村鑑三氏のキリスト教徒としての覚悟であり、
この上ない優しさだと感じます。

そして最後に彼が導き出す答えとは?
もう、この辺で止めておきます。

もし、皆さんが本書をまだ読んでいないのでしたら、
ぜひ直接手に取って、
内村鑑三という霊的存在を感じてみてください。
彼が目の前にいるつもりで
言霊のシャワーを浴びてみてください。

10代の多感な時期であればより良いのかもしれませんが、
前号の「青春」の再定義にもある通り、
志を持って熱く生きるのに年齢は関係ありません。

「後世への最大遺物」へのチャレンジは、
今からでも決して遅くはないのです。
著者からの後世の万民に対する最大遺物なのですから…。

2021年12月8日

「264 『後世への最大遺物』書評」への2件のフィードバック

  1. 秋山先生の書評を拝読するたび「読んでみたいなぁ」と興味をそそられます。医歩の学校のサイト内で貸し借りができるデジタル図書館のようなものがあると良いと妄想しました。

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