産業革命以来、約200年間の社会の進歩は顕著です。
特にこの100年間の進歩は加速しています。
ライト兄弟による有人飛行は1903年です。
フォードのT型自動車の発売は1908年に始まっています。
そして、ガガーリンの人類初宇宙飛行は1961年です。
乗り物を見ただけでも急速な進歩を遂げてきたことが分かります。
この近現代と呼ばれる時期に社会は大きく変わりました。
その原動力は何だったと皆さんは思われますか? 
いろんな意見があると思いますが、
私は石油に代表される地下資源の発見だと考えています。
アメリカ合衆国のペンシルヴェニアで油井が開発されたのは1859年です。
石油によるエネルギー革命が先の乗り物の動力源となり、
火力発電による電力エネルギーに変換され、
様々な電化製品が生み出されました。
ラジオ放送は1920年に、
イギリスBBCによるテレビ定期試験放送は1929年になされました。
1947年にはトランジスタの発明、
1950年にはノイマン型コンピュータの発明へと続きます。
1990年にはビル・ゲイツによってWindows3.0が発売されます。
さらに、1995年にはインターネット元年を迎えました。
私たちの生活に石油がもたらした恩恵は計り知れません。
そんな石油も有限な地下資源であることが分かっています。
地球温暖化の問題もあり、石油依存の世界からの離脱を図らねばなりません。
もう石油(地下資源)だけに頼ることは出来ないのです。

それでは、これからの社会を変えていくのは何だと思われますか?
これにもいろんな意見があることでしょう。
そんな中で、私は断言します。
「これからの社会を変えていく原動力は人間の心だ」と。
ある意味、地球環境を犠牲にしながら世界の人口爆発が起きているわけですが、
現在、78億人に増大した人間の心こそ、豊饒な新資源なのです。

前置きが長くなりましたが、
そんな視点で本書を読まれると「こころの資本」の重要性や可能性が
明確になるのではないかと思います。
誤解を恐れずに申し上げるなら、
本書の要点は「内なるHERO」のという概念に集約されます。

この「内なるHERO」と概念化される心理的資本は、
ホープ、エフィカシー、レジリエンス、オプティミズムの下位概念に対する
上位概念として提示されています。


   

それはちょうど、知性という上位概念が
言語的、数量的、理性的、合理的といった
下位概念から構成されるようなものだと例えられています。
要するに、心的資本は先の4つが構成要素になっているということです。
ここで、「Hope(希望)」「Efficacy(自信・効力感)」「Resilience(レジリエンス・回復力)」「Optimism(楽観)」の頭文字がHEROになるといった単純な親父ギャグだとは思わないでください。
また、それらを単純に足し算するのではなく、
相乗効果を持つものとして捉えるべきだといいます。
したがって、4つを同時に高めて行くことが大切になります。
今後の研究によっては、さらに要素が増える可能性も残されているようです。

では、4つの要素をもう少し詳しく説明してみましょう。

  1. Hope(希望):根気よく目標に向かい、成功するために必要なら、目標への道筋を変える(日本語でいう楽観的な希望というより、強い意志と目標実現への様々な経路や手段を持ち合わせている心理状態を意味する)こと
  2. Efficacy(自信・効力感):挑戦的なタスクを成功させるために必要な努力を行う自信や効力感があること
  3. 問題や困難に悩まされても成功するために、耐え、すぐさま回復し、時には元の状態以上になる(Resilience:レジリエンス)こと
  4. 現在や将来に対してポジティブな帰属(Optimism:オプティミズム)を行うこと

極めてアメリカ的ではあります。
という訳で本書の解説はこれくらいにしておきます。
大切なのは、冒頭で申し上げたように
これからの社会を動かす原動力が人間の心になっていくということです。
あらゆる企業の業績も組織の活性度も
お金の資本力ではなく、先の4つの要素に代表される心的資源に依拠するようになるのです。
これはコペルニクス的転回といっても過言ではないでしょう。

ここからは私見です。
人に迷惑を掛けないとか、
安易に恩を受けるのは良くないと考えるべきではありません。
特に、若い人はたくさんの人から恩を受けるべきです。
「受けた恩はお返しするのが当たり前」
そんな感性を持っていることを前提に申し上げますが、
心ある人に施された恩は、社会や組織における、心的資本を高めます。
そうした恩はプラスαの利息をつけて返そうとするのがまともな人間の常だからです。
そうした構図は社会全体の心的資源が高まる仕掛けになります。
それが陰徳であれば更に良いです。
陰徳については、こちらをどうぞ 

http://tunagaru.org/akiyama-essay/217

陰徳こそ、これからの社会における最高の投資となるでしょう。

さて、話は変わりますが、
2月中にオンラインの「医療プロボノ説明会」を開催します。
医療プロボノについては、こちらをどうぞ 

http://tunagaru.org/akiyama-essay/169

「医療プロボノ」への想いが強すぎて、つい書評が二の次になってしまいました。
でも、それで良いと思っています。
著者の研究成果から私が導き出した答えが「医療プロボノ」に集約されるからです。

実は、1/29にMED東北で、さらに熱いプレゼンをします。
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(2022年1月19日)

「270. 『こころの資本』書評」への1件のフィードバック

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