最近、SNSでテス・ローリー博士の存在を知りました。

彼女は製薬会社などからの利益供与を受けない完全に独立した立場で
医学論文の整合性を調査するコンサルタントです。
一般的な企業コンサルタントをイメージするかもしれませんが、
彼女は医師であり優れた研究者です。
その完全中立性からWHOなどの各保健機関から審査を委託される立場にあったようです。
平たく表現すれば、医学論文や知見の監査役です。
その人が、人道上の見地からクリスマス休暇期間にボランティアで
イベルメクチンに関する複数の論文を丁寧に検証したそうです。
検証の結果、COVID-19に対するイベルメクチンの有効性(予防、治療の両面)が確認されました。
そこで、WHO・COVID-19の担当者でリバプール大学のアンドリュー・ヒル博士を中心にチームを編成し、
より精緻な検証、システマティックレビューを行いました。
重症例の死亡率が75%減少したなど、様々な有効性が確認されました。
そうして、WHOとヒル博士の権威によって、
世界中にイベルメクチンの有効性が伝播されるはずでした。
ところが、筆頭者のヒル博士が論文の結論に書いたのは
「イベルメクチンはより大規模な適切にコントロールされたランダム化試験で検証されなければならない」「規制当局で判断を受けるにはまだ不十分である」でした。
COVID-19のために急いで開発された新薬群とは違って、
結論を出すのが先送りされたのです。
何故でしょう?
動画の28分12秒〜 をご覧ください。
ヒル博士がローリー博士の詰問に困惑しながら答えています。
先の論文結語が彼の真意ではなかったことが伺えます。
大人の事情がそうさせたのでしょう。

余談?ですが、ヒル博士はUnitaidという会社にも雇われていていました。
実は、Unitaidの強力な出資者はビル・ゲイツ氏です。
欲望の資本主義がここにも見え隠れしているようです。

話題を変えましょう。
イベルメクチンについては、私も疥癬患者の治療時に大いに助けられました。
その著効経験から寄生虫治療薬という認識が強く残っていました。
他の臨床医の皆さんも同じ印象をお持ちだと思います。
それだけにウイルスであるCOVID-19に効くという話は眉唾モノと感じていました。
(大村 智 先生、疑って申し訳ありません)

イベルメクチンの作用機序を調べてみました。
なるほど納得です。

  1. 細胞への侵入を阻害:肺などに存在するACE-2受容体とCOVID-19のスパイクタンパクが結合するのを防ぐのではないかと考えられている(コンピュータシミュレーション上の推定)。
  2. 細胞内での複製を阻害:COVID-19は一本鎖RNAをゲノムとして持っており、人の細胞に感染すると、RNAのゲノムからポリタンパク質という巨大なタンパク質が作られるようになる。このポリタンパク質が切断されてバラバラになることで、それぞれがウイルスの増殖に必要なタンパク質として働く。このタンパクを切断するのがメインプロテアーゼという酵素で、イベルメクチンはこのメインプロテアーゼの働きを抑制し細胞内でのウイルスの増殖を阻害することが分かっている。
  3. 抗炎症作用:イベルメクチンはマクロライド系抗生剤であり、マクロライド系の特徴として抗炎症作用を併せ持つことが知られている。新型コロナ感染の重症例では、過剰な免疫反応で自己細胞を攻撃し傷つけてしまうというサイトカインストームが起きている。イベルメクチンは免疫反応を調整することでサイトカインストームを抑え、重症化を防ぐ効果があることが示唆されている。

先入観や偏見を排除してみると
イベルメクチンの有効性は間違いないように思います。
ただ、イベルメクチンの有効性を主張する人たちが
ワンセットでメッセンジャーRNAワクチン反対論者になっていることが気になります。
問題を複雑化していると思います。
イベルメクチンの有効性を単独で主張した方がより多くの人に理解されるでしょう。
少なくとも私の場合はそうでした。

オミクロンの変異に応じてワクチンを打ち続けるのも大変です。
そろそろ、イベルメクチンの有効性に世間も目覚めるべきでしょう。
今後、COVID-19の重症化率が減じて
季節性インフルエンザと同等の「5類」レベルに変更する時期が到来する頃には
イベルメクチンが予防・治療の選択肢の一つとして
当たり前になっているような気がします。

2年半前にハイエク著の『致命的な思い上がり』を引用し、
人間は100年前のスペイン風邪の時代とさほど変わっていないので、
収束までに2年間は要するだろうと予見しました。

逆に、2年間で何とかなるだろうと思っていました。
しかし、未だに収束の目処は立っていません。
私たち人類は、どこかで道を間違えてしまったのかもしれません。

大切なのは偏狭、視野狭窄に陥らないことだと思います。
自分だけが正しいと考えてはいけません。
私は群衆の叡智を信じています。
多様性の中にこそ、
人類の進むべき解があるのだと思っています。
真の多様性とは、
多様性自体を否定する人をも受け入れることではないでしょうか。

今こそ、誰もが
「致命的な思い上がり」を排すべきなのです。

(2022年8月10日) 

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